日本語と意味が違う「要注意・中国語リスト」 中国語・中級~初級レベル

例えば、「家」という単語も「人」という単語も、中国語と日本語とでは共通です。同じ字を書き、同じ意味です。国名の「中国」も「日本」も同じ字を書き、同じ意味です。「東京」は中国語で「东京」、「論語」は「论语」、字体が少し異なりますが、もとの漢字は日中で同じです。中国では簡体字、日本では新体字(※)が使われるようになり、字体が異なってしまった語も少なくありませんが、もとの漢字が同じであるケースも含め、日本語と中国語で同じ字形のものを「日中同形語」(中国語:中日同形词【Zhōngrì tóngxíngcí】)と言います。

さて、その「日中同形語」の中に、「日本語と中国語で意味が異なる単語」がいくつかあります。長い歴史の中で、外見(=文字)は変わらなかったけれど、中身(=意味)が日本と中国とで一致しなくなった語です。

例えば、有名な語が中国語の「手纸」【shǒuzhǐ】です。「手纸」は、「手紙(てがみ)」という意味ではなく、「トイレットペーパー」という意味になります。ほかにも幾つか注意すべき語がありますので、このページではその主なものをリストアップしてみました。これらの中国語を目にしたら、文字が表すままに意味を取ることはできないので注意が必要です。今回は、中国語の中級~初級レベルで、代表的なものを紹介します。

※新体字:1949年、それまでの正字体(旧字体)に代わって日本国内で新たに定められた字体。「当用漢字(字体)」と呼ばれる。略字体などが採用された。例えば、「醫」を「医」に改めるなど。1981年に定められた「常用漢字1945字」でも、その時の新字体がそのまま受け継がれた。中国の簡体字は、1956年以降、数度の公布で制定された。

目次

「日本語と意味が異なる中国語単語リスト」(中級~初級編)


中国語

中国語の意味
では日本語の【〇〇】を中国語に直すと➡
➡中国語
手纸
shǒuzhǐ
トイレットペーパーでは日本語の【手紙】を➡
xìn

トップバッターは、冒頭で紹介した「手纸」です。昔から中国語学習者が日中同形語の中で注意すべき単語として学んできました。「手紙(てがみ)」という意味で間違えて、この「手纸」という中国語を使ったら大変です。意味が全く違います。もっとも今はどちらかと言えば「卫生纸」【wèishēngzhǐ】という言い方の方が一般的に使われます(「手纸」もまだ使われますが)。また、「手纸」は、トイレットペーパーだけでなく、ティッシュペーパーを意味する場合もあります。

「手纸」が「ティッシュペーパー」という意味も表す理由と中国のトイレ事情

中国語の「手纸」【shǒuzhǐ】または「卫生纸」【wèishēngzhǐ】が「ティッシュペーパー」という意味も表す場合がある理由、それは、製品・商品の形状使い方が日本と中国とで違うことによります。

トイレットペーパーは日本と中国とで見た目は同じですから、そのまま「卫生纸」または「手纸」と呼べば良いです。問題は、ティッシュペーパーで、日本のような紙の箱に入った、日本人なら誰でもティッシュと分かるあの外見の商品が、中国ではあまり売られていないのです。代わりに、キッチンペーパーともタオルペーパーともとれない中国独特のペーパー(※↓写真)が昔から全国で広く売られており、それを中国ではトイレットペーパーとして使ったり、ティッシュペーパーとして使ったりします。この「中国ペーパー」、各社から様々な種類の商品が出ていますが、名前はやはり「卫生纸」または「手纸」になります。

中国では、トイレットペーパーは便器に流せませんので(下水設備環境が不十分で、紙が詰まりやすい為、トイレの備え付けのゴミ箱に捨てる...何でも「水に流す」文化の日本人の私たちにはなかなか生理的に慣れない文化ではありますが(^^;))、特に「トイレ用の紙」と「トイレ以外の生活場面での紙」とを分けて使用する文化が同国で発達してこなかったのです(発達する必要もありませんでした)。トイレットペーパーも「中国ペーパー」も共に、トイレとその他日常の生活場面のどちらでも使うことができます。また実際使われています。中国の一般家庭では、リビングにトイレットペーパーがボンとそのまま置かれていて、日本人がディッシュペーパーを使う感覚でトイレットペーパーをちぎりながら使っています。片手でロールを持って、もう片方の手でちぎりながら...(日本でも普段このように使われているご家庭や使われている方ももちろんいらっしゃるでしょうが)。トイレにあるような設置器具や、何か専用の箱に入れている訳でもなく、普通は「じか置き」で食卓でもどこでも置いて手で適当な長さでちぎって使っています。紙質はトイレットペーパーなので勿論水分に溶けやすいですが、慣れれば大した問題ではありません。日本人がティッシュペーパーを使う感覚で中国人は使っています。
さて、呼び方(名称)は、先述の通り、トイレットペーパーも「中国ペーパー」も、どちらも中国語では「手纸」または「卫生纸」です。日本では「トイレ用のペーパー」と「トイレ以外の日常生活場面用のペーパー」とは紙質も用途も異なり、必要があって区別され、「トイレットペーパー」と「ティッシュペーパー」のように呼び方が分かれました。しかし、中国ではその区別が明確ではありません。製品としてのトイレットペーパーと「中国ペーパー」のどちらも、トイレ用の紙としても、その他日常生活場面の紙としても、どちらの場面でも使われているのです。だから、中国においては、日本語のように❝「トイレットペーパー」と「ティッシュペーパー」という区別 はあまり意味がないのです。これが、「手纸」【shǒuzhǐ】という中国語が「トイレットペーパー」だけでなく、「ティッシュペーパー」という意味を表すこともあるという、その理由です。日中の文化・習慣の違いです。少し複雑な話でしたが、ご理解頂けたでしょうか?

中国語中国語の意味では日本語の【〇〇】を中国語に直すと➡➡中国語
 tāng
(繁体字:)
スープでは日本語の【湯】を中国語に直すと➡➡开水 kāishuǐ
➡白开水 báikāishuǐ
➡热水 rèshuǐ
など
汽车
qìchē
自動車では日本語の【汽車】を中国語に直すと➡➡火车 huǒchē
新闻
xīnwén
ニュースでは日本語の【新聞】を中国語に直すと➡➡报 bào
➡报纸 bàozhǐ
など

chuáng
ベッドでは日本語の【床】を中国語に直すと➡➡地板 dìbǎn
など
勉强
miǎnqiǎng
無理やり
無理強いする
では日本語の【勉強】を中国語に直すと➡➡学习 xuéxí
➡读书 dúshū
など

niáng
母親 では日本語の【娘】を中国語に直すと➡➡女儿 nǚér
➡姑娘 gūniang
など
丈夫
zhàngfu
夫、主人、旦那 では日本語の【丈夫】を中国語に直すと➡➡棒 bàngなど

※⑦:日本語の「大丈夫」は「没问题」【méi wèntí】。

中国語中国語の意味では日本語の【〇〇】を中国語に直すと➡➡中国語
老婆
lǎopo
妻、女房では日本語の【老婆】を中国語に直すと➡➡老妇人 lǎo fùrénなど
约束
yuēshù
束縛する、拘束するでは日本語の【約束】を中国語に直すと➡➡守约 shǒuyuēなど

以上、いかがでしたか。中国語の単語を勉強している方は、誤解やミスコミュニケーションを防ぐために、これらの単語を先に覚えてしまうのも良いかもしれません。

また、日本人が漢字を理解していることは、中国語学習時の大きなアドバンテージであり、ある程度なら中国人と筆談で意思疎通することができます。これらは日本人の特徴ですが、中国語の文字を見た時にせよ、中国人との筆談時にせよ、このページで紹介したように、ある意味「危険」な単語も存在しますので、ぜひご注意ください。